中国に圧力をかける日米連携

                                   Bill Lee

1.なぜ米国と日本は中国に圧力をかけるのか

言うまでもなく東シナ海(以下ECS)と南シナ海(SCS)で、中国の優勢を妨げるのは日米に重要な目的に違いない。経済の面でECSの豊かな魚や石油の資源が日本には重要であり、SCSの航路が米国にも不可欠である。(5.3兆ドルのSCSにより貨物の中で米国のシェアは1.2兆ドル)。安全保障の面では、ECSに於いて日米は中国の琉球諸島により、太平洋へのアクセスを妨害できる。SCSに於いてフィリピンやインドネシアにより太平洋とインド洋への中国のアクセスをブロックできるし、どうしても米国はSCSの深海の中の中国の潜水艦の往来を阻止したいのである。

2.米国にて政治的な展望

これから米国と日本にて政治的な展開は中国に関しての対応が大分に変わってくる見込みである。次のアメリカの大統領次第に米国の外交、経済、安全保障の政策は違った道に進む可能性が大である。クリントン候補者は当選すればどれぐらいアジアへの中心軸の位置が(pivot)Obama政権の政策を継続するか不明であるがほぼクリントン夫人は、大きく外れることはないと考えられる。日米同盟を強化するはずのクリントン夫人は、尖閣諸島が攻撃されれば日米安全保障条約の適用対象になるとはっきり声明したことがある。

それに反してトランプ候補者は、矛盾や非論理的な発言だらけで彼の政策の立場が分かりづらく、これだ!というトランプ氏の立場は不明である。経済の面でトランプ氏は中国のいわゆる「為替操作」について批判しているがそうした発言は選挙のポーズだと受け止められる。トランプ氏の知識不足が明らかになるのは、「中国が入っていないTPPは、中国への賄賂だ」という最近の発言である。中国人が自分の住宅用不動産を購入していると自慢しているし、もしかしたら経済の面でトランプ氏は中国と利益のある関係を継続したいではないか。安全保障の面でトランプ候補者の当選は中国には有利な結果だと言っていいであろう。トランプ氏は、世界での米国の軍事的な存在を低下したいと主張し、日本や韓国にさらなる安全保障面での負担を増やして欲しいと発言。「つい最近私の側近が、日本は基地の費用を50%で負担していると教えてくれたけどなぜ100%を負担していないのか?」とトランプ氏は言った。

安全保障条約についてトランプ氏は:「日本が攻撃されればアメリカは、日本を全面的に守らなくてはいけない。しかしアメリカが攻撃されたら、日本人は何もせずに、家でソニー製のテレビを見るだけだろう。」と話した。トランプ氏は大統領になったら米国は自国防衛のために負担を増やすよう、日本に圧力をかけるに違いない。長い実業家としての経験にもとづいて自分の交渉の能力を自慢しているトランプ氏は、ビズネス交渉を国際政治や安全保障に、そのトリックを適用しようとするはずである。しかし、誰にでも分かる戦術の一つは、交渉の初期段階で、自分側の1番極端の立場を見せるのである。日本との交渉で、アメリカは退場する(「walk」)構えではないとダメだ、とトランプ氏は八月五日に言った。その「walk」という言葉は、米軍基地が日本から全部を撤退するという意味である。おそらくトランプ氏も含めて誰も彼の頭の中の考えが分からない。彼の矛盾発言の一例は、核不拡散についての質問に対して、トランプ氏は一文の中で「核不拡散にすればいいが、日本と韓国は核兵器を持つべきかもしれない。」トランプ氏は、日米間に亀裂が生じれば、中国は典型的な分割統治の機会を与えられると考えている。ロシアに関してトランプ氏はロシアによりのクリミア半島の併合を認めると言ったことがあり、NATOもいらないと言ったからおそらくロシアによるバルトの国々への侵入も認める可能性が否定できない。同様に中国のSCSの軍事的拡張も認める可能性がある。中国はトランプ氏の当選を応援するのは当然であろう。

 3.日本にて政治的な展望

 最近の与党圏の参議院選挙の圧倒的な勝利により、安倍政権の権力は強化される。内閣改造はそれほど大きいな変化はなかったが、改造と自民党の役員人事は安倍総理のこれからの意思を示す。1番注目を集めるのは稲田朋美の防衛相の起用である。稲田議員の靖国神社の頻繁の参拝や領土問題についての発言(彼女は竹島の視察を目的に韓国に訪れるつもりだが、韓国政府は入国を拒んだ事件があった)や歴史修正主義(南京大虐殺を否定する発言)により悔い改めないと、右翼の政治家として知られているからである。稲田夫人はポスト安倍の後継者になると永田町中で声が上がっているが彼女の防衛大臣としての、安全保障や中国に関する日本政府の立場に影響が強くなるはずである。また、重要な自民党の幹事長に、二階俊博の起用も意義のある決定と言える。稲田議員と対照的に二階氏は親中派だとしられて安倍総理は自分の政権におけるバランスを取ろうとしているかもしれないが、二階と稲田は共通点がある。それは安倍首相の党総裁任期の延長の可能性を認めるという発言をしたことがあるのだ。いうまでもなく安倍首相の任期が長ければ長いほど彼の長年の夢の憲法改正が実現できる日が近づく。参議院の選挙の結果で与党側や改憲勢力の3分の2を超えているから衆参で憲法改正案の発議が可能になる。もちろん国民投票が必要であるが、日本中に勢いが高めれば、日本の平和主義の憲法がなくなり、安全保障のパンドラの箱が開くのである。

4.中国に圧力をかける

さてどうやって中国に日米両国は、具体的な圧力をかけるか?両国は同盟的な二国間で、一方的な圧力をかけるはずである。しかし、どちらにもかからず共通の意図がある。それは中国を拘束という狙い。以下、両国の圧力を外交的・政治的と軍事的という二つのカテゴリに分離するのである。

  • 外交的・政治的な圧力

—法的要求

アメリカは、中立立場を守ると言いながら米国は、フィリピンの国連海洋法条約(UNCLOS)の要求のような中国への法的要求を支えている。中国の不参加と国際海洋法裁判所の判決への敏感な反抗は、どれぐらいそういう要求に対して中国の立場の脆弱さを示す。国際世論の空想上の裁判所において 中国のフィリピンのUNCLOSの要求への反応は納得性がないと言っていいでしょう。なぜならまず中国はUNCLOSを批准したので国際海洋法裁判所の判決を受け入れるはずです。以下中国のその判決に対しての反抗についてもっと意見を出すけれどもとにかく元駐米大使柳井俊二のITLOSの裁判官の選択は依怙だしフィリピンがITLOSの裁判官へ賄賂を贈るというような申し立ては不似合いではないかなと思う。今後の中国への法的要求に日米両国は絶対支持する。

—東南アジアへの日米の支援

中国の海洋領土権の主張に反抗している東南アジアの国々への日米からの支援は当然なことである。米国政府からの金銭的な支援は少ない(「予算のほこり」)が、いうまでもなくアメリカの軍事の存在感はそれを十分埋め合せている。であるにもかかわらず、2015年に米国政府はASEANとの関係は「戦略的パートナーシップ」にアップグレードしてASEAN地域フォーラム(ARF)に強い支持を示している。ARF の優先課題はなんと「信頼醸成」から「積極的な外交」へ移りつつあって中国の海上拡張を念頭に置いてSCSにて「ルールに基づく秩序」の擁護を強調するようになっている。穏やかな態度をとりながら今年の七月のASEAN声明ではITLOSの裁判に全然触れていないが、ちょうど一周間後、米訪中のシンガポールのリー・シェンロン首相が、初めて東南アジアの首脳として、ホワイトハウスで開かれた公式晩餐会を受けた。ASEANの中でシンガポールは中国に対しての態度は軍事的な面で、かなり親米よりな為、その待遇は非常に象徴的だと言える。

—日本からのASEANへのインフラと能力構築の支援

今まで歴代の政権は政府開発援助(ODA)を絶対平和的な利用することにしていたが、平成25年12月における安倍政権の日本の初めての「国家安全保障戦略」においてODA の「戦略的利用」が要求されている。意義ある変化として「戦略」という言葉の出現で従来のODAは、日本の政府の狙いは関係せずに、ただ被援助国の発展のためだけであり、これからのODAは政府の外交的や安全保障的な政策に沿って行われる。さらに平成27年2月における安倍内閣は、改定された政府開発援助大綱を決定した。その新しいガイドラインは、外国の軍事へのODAを許可し、その軍事へのODAは、災害救援などという非軍事利用という条件を付けるが、実際には、援助された装置や訓練が、何の目的に使われるか分かるはずもない。(ODA 大綱の名称も変更で「政府開発援助大綱]から「開発協力大綱」にした。重要なのは「援助」から「協力」という変更で付帯条件なしという感じから見返りという意味合いになってしまうのである。)例えば医療トレーニングコースの得た知識や能力は戦場で使える。その新しいODA大綱の発表のための記者会見において安倍首相は日本の援助は「法の支配」を守るためだと強調して、明らかに中国のECS/SCSの「不法的」活動に暗示していた。実際に2013年台風30号ハイエン発生後1,180自衛隊の部隊は、災害救援のためフィリピンへ派遣されたが、そのレスポンスは「中国を抑えるため」 (日本政府の関係者)という下心があったようである。

 アジアの中で一番大きな日本からの援助の被援助国は中国と熱々と論争しているヴィエトナムとフィリピンである。従来の援助は能力構築とインフラ整備に中心して、それは中国に何らかの圧力をかけるのだろうか?直接なプレッシャーはないが、言うまでもなくその大勢のODAの金銭で、日本や現地において訓練を受けた技術者や科学者は、自国の軍事の発展は重要な人材であり、インフラの面では日本援助により賄った事業だから自国の資金を使わずに、軍事の発展に注ぎ込むことができる。つい最近、日本はマニラの鉄道の建設のために24億ドルの融資をフィリピンと約束した。その上、送電網,空港や港の建設など日本のODAにより造られたインフラは直ぐ軍事的な利用へ変換できるのである。

  • 日本の軍事的な圧力

安倍政権は日本の軍事関係の政策に三つの変更を実現しました。第一は閣議決定により集団的自衛権の行使が容認。第二武器輸出規制の緩和だ。第三外国軍をODA支援対象になるようになった。

—集団的自衛権の行使容認

平成26年七月における安倍政権は集団的自衛権の行使をできるようになる憲法の解釈を変え、自衛隊部隊を地理的な制限なく派遣できるようにした。集団的自衛権の行使に基づいて海上自衛隊の艇艦はSCSにて攻撃された米海軍の艇艦を守ることができる。この集団的自衛権の行使容認は、日本の憲法改正への第一歩としての意味を持つ

­—武器輸出規制緩和

平成26年 四月に安倍内閣が閣議決定で、武器は条件を満たせば認められるようになった。それを受け、すでに三菱重工業は潜水艦や島を奪還のための水陸両用強襲車を外国に売ろうとしている。しかしそういう大規模な軍事機器より画像センサのような、小さいハイテクの部品を売るかもしれない。

—外国軍にODA

上記のように日本のODAの中で、べエトナムやフィリピンにその国の情報・監視察(ISR)能力を強化するために沿岸警備隊用の巡視船(ヴィエトナムに6隻, フィリピンに10隻)をODAの円借款で提供する。明らかにこの援助は中国のSCSの活動を控えると言う目的である。

—日本の軍事力強化

さて日本の軍事関係政策の変更とともに日本の軍事力自身はどう変わるか。日本の2015年度防衛予算は1、5%増加で4兆9800億円になった。その中20機PC−3哨戒機の配備に3500億円、新しいAegis駆逐艦の建造に1680億円、6機F−35戦闘機に1030億円に確保されている。その航空機と艦船は全てECS/SCSに配備される。特に強化されているのは南西諸島の離島でISRと迎撃ミサイル能力だ。2016年の三月に与那国島で陸上自衛隊の駐屯地と沿岸監視隊を創設して、その部隊のレーダーでECS全体とSCSの北の方の中国の船舶や航空機の活動を監視できる。南西諸島の離島を奪還のため防衛省は日本の初めての水陸機動団水陸機動団を創設した。日本全域に弾道弾迎撃ミサイルの能力を強化して、THAAD(終末高高度防衛ミサイル)を米国から導入すれば効果的な3層BMDになる。第1層はTHAAD,第2は艦載搭載するミサイル(全てのAegis6隻にはRIM-161スタンダード・ミサイル3は搭載される見込み)、第3はPAC地対空誘導弾パトリオットミサイル。

 

中国が尖閣諸島の周辺にてエスカレートになっている活動に対して2016年の四月に海上保安庁は、巡視船12隻が尖閣諸島の専門任務になる。更に、2015年の五月のSCSにおける日比共同軍事訓練を継続し、両政府は最近の国際仲裁裁判所の判決が下したばかりでSCSで、共同訓練を行うことに合意した。言うまでもなく、そういう高まった巡回や共同軍事演習は、中国に圧力を加えるための

意図であるが、効果はどれほどなのか。

やはり一番プレッシャーをかけるのは、核兵器のようだ。中国人民解放軍は、日本の核兵器の開発をかなり神経質のようである。人民解放軍の将校を対象に「国防参考」に乗った2014年四月8日に日付の記事で、日本は必要な技術を持っているし核兵器製造の大量の原料を所有しているからいつでも核兵器を作れることを予測している。要するに物凄い圧力になるのは核兵器だ。日本では核兵器の開発について公の議論はゼロなのに、米紙のワシントン・ポストの記事によると、安倍首相はオバマ米国大統領の核先制不使用の宣言にとても反対しているし、安倍政権は核兵器の開発の基礎を築くということは否定できない。

  • 日米軍事協力

主要な中国に圧力をかける原点は、もちろん日本における米軍基地であるが、2020年までに米海軍の全ての艦船と飛行機の60%は、日本を含めて太平洋に配置されるという見込みだ。日本における主な米軍勢は以下の通り、

—海軍:横須賀に配置の第7艦隊(空母打撃群などを含め)、

—空軍:嘉手納や三沢飛行場に配備の130機の戦闘機、

—海兵隊:沖縄に配備の危機対応の第3海兵遠征軍など。

2015年に日米協力のための指針の改革は、非常に意義のある展開で、要はEDC/SCSを含めて世界のどこでも「切れ目のない日米共同の対応」ができるようになる。これを受けて2015年のAPEC首脳会議で安倍総理は、オバマ大統領に米国のSCSの航行の自由作戦を支えるために日本は艦船を派遣すると報道された。

  • 米国の軍事的な圧力

上記のSCSにおける今まで(2016年五月10日)三番目の米軍の航行の自由作戦(FONOP)は、一応一番直結な圧力の手段だ。それに加えて以下の施策を実施すると考えられる。

—フィリピンとベトナムへの軍事協力:2016年三月にアメリカが過去には米国の軍事存在を激しく抵抗したフィリピン政府と、米軍のフィリピン五ヶ所の軍事基地が、改めて永久的な存在と合意した。そのフィリピン基地から米軍隊が南沙諸島などに派遣できるようになるとともに、アメリカはその基地の能力を強化するために設備拡張・建設に支援する見込みだ。米国はかなり沿岸警備隊のカッター、軍装備品などをフィリピンに提供している。2016年三月から中国への警戒を強めているためにSCSにおける米比共同哨戒活動を始めた。米軍隊が展開されるAntonio Bautista Air Baseが位置しているパラワン島は南沙諸島のミスチーフ礁(美济礁)からただ217キ離れている為、米海兵隊は中国の九段線のすぐ側パラワン島に島上陸の訓練ができる。さらに有力のジョンマケイン米国上院議員らはスカボロ黄岩岛)が、米比相互防衛条約の対象範囲となると出張し、そうであれば尖閣諸島と同様に中国軍がスカボロ沖にフィリピンの海軍艦艇などを攻撃すればアメリカはフィリピンを守る義務になる。

前の敵は友になる歴史の皮肉の典型的な例で、アメリカは、この頃ベトナムと軍事協力を強化している。2016年五月にアメリカはベトナムに対する武器禁措置を全面的に解除して、最初にベトナムのISR能力を強化するためにISR用の装置を売却。さらに米海軍は重要な深層水のカムラン湾の港湾施設へのアクセスとなる見込みである。カムラン湾の戦略上の立地に鑑みて、これは国に圧力をかなり加えるはずである。

無論アメリカは上記の他に圧力作戦がある。例えば、米海軍は空母打撃群をSCSにおいて何ヶ月も配備できると共に、米空軍の爆撃機を人工島周辺へ飛行させられ、米海兵隊は遠征機動基地(EMB)をSCSに建設する選択機がある。「空は限界である。」

 

5.これから

 

さて中国は今後どういう風にそのアメリカと日本からのあらゆる外交的・政治的や軍事的な圧力を対応するか?上記に述べたとうり、この間の国際海洋法裁判所の判決への激しい反抗は、フィリピンの賄賂、日本のバイアスなどを中心にしたが、ただわめき散らすという感じであった。確かに、その判決を受け入れるべきだと出張している日本は竹島の問題について、国際司法裁判所で決めるべきだという日本の立場と同様に、尖閣諸島の問題についても領土問題があると認めず、国際司法裁判所に訴える理由はないという矛盾の立場に対して、中国が十分反論する余地がある。ECS/SCSにおける中国にプレッシャーをかけているアメリカに対して、昔自分は西半球に経済的軍事的な支配を広げたと出張したモンロー主義に断ったわけだから、どうして中国は自分の目の前の海にて同じようなことができないかという声ある。しかし、そういう議論はあまりにも19世紀の植民地主義的な考え方だしベトナムやフィリピンの国民の存在を無視する。地球温暖化問題で中国は「お前たち西洋国は経済発展のため工場から棄物を凄く出したから我々は同じ権利を持っている」と言えば同様なレベルである。他にもっと解決にげる反応にすればいいではないか。少しでも相手の領土権の主張を認めてECS/SCSの豊かな資源を共同開発する以外の方法はあるのだろうか。

 Photo: U.S. Pacific Fleet via flickr